3社から見積もりを取った。A社は80万円、B社は110万円、C社は125万円。どれを選べばいいのか、金額だけでは決められない——。

決められないのは当然で、3社が見積もっている「作業の範囲」が、最初からそろっていないからです。同じ「3分の会社紹介動画」でも、撮影が半日か1日か、修正が全体で2回か工程ごとに2回か、著作権を譲り受けるのか使わせてもらうだけなのかで、最終的な支払額は変わります。

以下、はじめて動画を外注する経営者・店舗オーナーの方に向けて、見積もりを頼む前にそろえること、見積書で確認する7つの項目、3社の比べ方の順に見ていきます。費用の相場はSNS動画制作の費用相場に譲り、ここでは「その金額に何が含まれているか」の見分け方に絞ります。

見積もりの比較は、外注の流れでいえば5番目の工程です。全体の流れは動画制作の外注ガイド|流れ・準備するもの・注意点で確認できます。社内で作るか迷っている段階なら、動画制作は内製と外注どちらが安いかを先にお読みください。

この記事の要点

  • 見積もりを頼む前に、目的・長さ・本数・使う場所・修正・権利を1枚に書き、全社に同じものを渡す
  • 「一式」は内訳を出してもらう。安い見積もりで省かれた作業は、見積書に書かれていない
  • 確認するのは7項目:企画/撮影/編集・音/出演者・素材/修正/納品物と著作権/日程と支払い
  • 制作費を払っても、著作権は自動では移らない。契約書に書いておく
  • 比べるのは最初の見積額ではなく、追加の費用と自社の手間まで含めた総額

動画制作の見積もりが、会社ごとに違う理由

制作会社が公表している実績では、動画1本の制作費は30万〜200万円あたりが中心です。ある制作会社が公開した240案件のデータでは、中央値63万円、半数が40万〜120万円でした。撮影を簡単にした短い動画なら30万円未満、出演者・スタジオ・CGを使えば200万円を超えます。

幅がこれだけ広いのは、「動画1本の適正価格」というものがないからです。あるのは「この条件なら、この金額」という対応だけです。条件をそろえない限り、金額は比べられません。

費用の大まかな割合は、企画・構成が15〜25%、撮影が20〜40%、編集が30〜50%、諸経費が10〜20%という公開の目安があります。大事なのは割合より、安い見積もりは、このどこかを削って成り立っていることです。削られた作業は見積書に出てきません。書かれていないものは読めないので、こちらから項目を指定して聞くしかありません。

見積もりを頼む前に、依頼内容を1枚にそろえる

「3分くらいの会社紹介動画をお願いします」だけでは、各社が別々の前提で見積もります。次の項目を1枚にまとめ、全社に同じものを渡してください。これだけで見積もりが正確になり、比べやすくなります。

項目 書く内容の例
目的・見てほしい人 はじめての方の予約を増やしたい/新商品を知ってもらいたい
見た人にしてほしいこと 予約ページを開く/商品ページで購入する
使う場所 Instagram・TikTokの広告、自社サイト、店頭
長さ・本数 本編1本と、短く切った版1本
撮影 店舗で1日以内
修正 構成2回、初稿2回、最終の微調整1回を希望
納品 MP4。字幕あり版と字幕なし版
権利 自社サイト・SNS・広告・店頭で、期限なく使いたい
予算・納期 複数の案を希望/発注から8週間

とくに「権利」の行を書かないまま見積もりを取る方が多いのですが、あとで一番もめるのがここです。

見積書で確認する7つのこと

受け取った見積書を、次の7つに分けて見てください。「一式」と書かれた行があれば、内訳を出してもらう行です。

① 企画・構成:どこまでが「企画」に入るか

確認すること:聞き取り、競合の調査、コンセプト、台本、構成案、絵コンテ(場面ごとの下絵)のうち、どこまで含まれるか。「企画費」と「進行管理費(ディレクション費)」が別か。企画案は何案出るか。

聞き方の例:「企画案は何案いただけますか」「構成が決まった後の変更は追加料金ですか」

企画費が無料や極端に安くても、悪いとは限りません。ただし、決まった型を使うのか、台本は発注する側が用意する前提なのか、あとから進行管理費が別に立つのかは確認してください。

動画の成果を左右するのは、撮影機材より「誰に、何を、どの順番で伝えるか」です。ここがあいまいなまま撮影に入ると、撮り直しや全面的な作り直しという、いちばん高い修正になります。

② 撮影:「撮影1日」の中身を数字で聞く

確認すること:撮影の日数と拘束時間、カメラの台数、スタッフの人数、機材、下見、準備と片付けの時間。

聞き方の例:「撮影時間を超えた場合の料金は」「移動や準備の時間も拘束時間に入りますか」「雨の日の予備日はどうなりますか」

「撮影1日」と書かれていても、8時間なのか半日なのか、移動を含むのかで中身はまったく違います。あとから加算されやすいのは、撮影の延長、撮影場所の追加、インタビューの追加、休日・深夜の対応、駐車場、機材の運搬です。拘束時間、延長の単価、撮影場所の数、撮る人数を見積書に書いてもらってください。

③ 編集・音:会社ごとの差がいちばん大きい

確認すること:カット編集、字幕の量、図解、動く文字や図形、CG、色の調整、BGM、効果音、ナレーション、音の仕上げ(MA)の範囲。

聞き方の例:「字幕は全編ですか、要点だけですか」「オリジナルの図解は何点ですか」「ナレーションを録り直す場合の条件は」

編集費を決めるのは完成した動画の長さではなく、素材の量と演出の多さです。商品のCG、全カットの合成、複数の画面サイズへの作り分けが入れば、30秒の広告が3分の会社紹介動画より高くなることは普通にあります。

④ 出演者・素材・音楽:「Web利用可」はどこまでか

確認すること:モデル・ナレーター・社員などの出演者、スタジオ、写真や映像の素材、フォント、音楽の費用と、使っていい範囲。

聞き方の例:「出演料で使える期間と媒体は」「Web広告に使うことは含まれますか」「社員の出演の同意書は誰が取りますか」

動画の著作権を得ても、出演者や音楽など、ほかの人の権利によって使える範囲が限られます。「Web利用可」が自社サイトだけなのか、YouTube・SNS・広告・販売店のサイトまで含むのかで、翌年にできることが変わります。

音楽も同じです。JASRACが管理する曲を、企業や商品の広告の動画に使う場合は、通常の動画投稿とは別に、広告目的の複製などの手続きや、権利者が決める金額が必要になることがあります。「投稿では使えたのに、広告に回したら使えない」は実際によく起きます。

社員が出演する場合も、使う目的・媒体・期間・退職後の扱いを含めた同意を取っておくのが安全です。

⑤ 修正:「修正2回まで」だけでは条件が分からない

確認すること:無料の修正回数が工程ごとか案件全体か、何を「修正」と呼ぶか、修正の期限、追加の単価、撮り直しの扱い。

聞き方の例:「修正回数は工程ごとですか、案件全体ですか」「複数の担当者のコメントを1回にまとめれば、1回の扱いですか」「撮り直しになるのは、どんなときですか」

修正費に決まった相場はありません。企業の案件では、作業時間をもとに見積もり直しになります(編集技術者1人1日6万円という公開例もあります)。「1回いくら」より、作業の単価と範囲を聞くほうが役に立ちます。工程ごとの決め方は後半にまとめました。

修正が増える原因の多くは、制作会社ではなく発注する側の確認の進め方にあります。営業・法務・経営陣が順番に確認すれば、それだけで6回になります。窓口を1人に決め、コメントは動画の何秒目の話かを添えてまとめ、構成の段階で関係する人の了承を取る。これで2回に収まります。

⑥ 納品物と著作権:制作費を払っても、著作権は移らない

確認すること:完成動画の本数・長さ・画面の縦横、字幕あり版となし版、撮影した素材と編集データをもらえるか、著作権がどちらのものになるか、制作会社の実績として公開されるか。

聞き方の例:「縦長と正方形の版は別料金ですか」「撮影した素材と編集データはもらえますか」「著作権法27条・28条の権利を含みますか」「制作実績として公開されますか」

7項目の中で、いちばん誤解が多いのがここです。文化庁の契約マニュアルでは、制作を依頼した側が著作権を取得するには、契約上の個別の合意が必要とされています。お金を払ったから権利が自社に来る、ということにはなりません。撮影した素材や編集データの扱いにも共通の相場がないため、見積書に書いてもらうことが欠かせません。契約書に書く内容は後半で説明します。

⑦ 日程と支払い:「納期2か月」に自社の確認時間は入っているか

確認すること:撮影日・初稿・最終の納品日、自社側の確認の期限、担当者、着手金と残金、キャンセル・延期・特急の条件。

聞き方の例:「担当の方が不在のときは、誰が対応しますか」「こちらの確認が遅れたら、納期はどうなりますか」「撮影の延期・中止の料金は」

「納期2か月」とだけ書かれた工程表は危険です。自社の確認にかかる時間が含まれているか、遅れたときに納品日がずれるのかが決まっていないと、キャンペーンや新メニューの開始日に間に合いません。「発注側の確認は各2営業日、超えた分だけ納期を延ばす」と工程表に書いておくのが現実的です。

3社の見積もりは、「含まれないもの」の行を作って比べる

7項目に分けたら、横に並べた表にします。ポイントは総額の行ではなく、「見積もりに含まれないもの」の行を必ず作ることです。

比較項目 A社 B社 C社
総額 80万円 110万円 125万円
企画 簡単な構成のみ 競合の調査あり 目標の数字・広告の出し方まで
撮影 カメラ1台・半日 2台・1日 2台・1日
編集 基本の字幕 図解5点 図解・動く文字込み
修正 全体で2回 工程ごとに2回 工程ごとに2回+最終調整
短い版 なし 1本 3本
著作権 使わせてもらうだけ 譲り受ける 譲り受ける
元データ もらえない 撮影素材のみ 要相談
向いている頼み方 価格を優先 バランス型 広告で広く使う

A社の80万円は「短い版なし・使わせてもらうだけ・元データなし」の80万円だと分かります。あとから短い版3本と広告に使う許可を足せば、C社を上回ることも十分あり得ます。比べるべきは、最終的にかかる総額です。

最終的にかかる総額 = 最初の見積額 + 追加の修正・撮影 + ほかの用途に使う権利・更新 + 画面サイズ違い・短い版 + 自社の手間

最後の「自社の手間」を忘れないでください。企画を発注する側が全部書く前提の安い見積もりは、経営者ご自身や担当者の時間という形で払っているだけです。

実績の見方:「制作実績500社」を数字のまま受け取らない

制作実績は映像のきれいさではなく、自社と近い目的・業種・予算・使う場所での実績があるかで見ます。

「実績500社」「満足度No.1」といった表示は、対象の期間、誰が調べたか、どれだけの数の中での結果かまで確認します。消費者庁は、No.1表示について、第三者が調査したものであっても、広告主が根拠を確認する責任を負うとしています。「その数字の母数と期間を教えてください」と聞くこと自体が、相手の誠実さを測る質問になります。あわせて、その事例でどこまでを担当したのかも聞いてください。編集だけを担当した動画を、企画から手がけたように見せている会社は珍しくありません。

選ぶときは、価格以外の点数で比べる

最終的に選ぶときは、総額ではなく次のような配点で見ると、社内でも説明しやすくなります。目的と見てほしい人への理解20点/企画・構成の提案20点/同じ用途での実績15点/見積もりの分かりやすさ15点/進め方と納期の確かさ10点/修正・追加費用の明確さ10点/著作権・ほかの用途に使う条件10点。価格の欄がないことに注目してください。価格は、この7つが同じ点数だったときにだけ意味を持ちます。

業種別に、見積もりの前に決めておくこと

pitattoへのご相談が多い業種について、依頼内容で抜けやすい点です。

エステ・サロン・美容

  • 映る人の同意と、使っていい範囲を先に決める:施術者やお客様を映すなら、どの媒体に・いつまで出すか、スタッフが辞めた後にどうするかを依頼内容に書きます(④)
  • 実績は「予約につなげた広告」で見る:映像のきれいさより、予約ページへ移ってもらう広告を作った経験があるかを見ます
  • 表現の確認を工程表に入れる:美容の広告には、効果の書き方や見せ方にルールがあります。最終確認は広告を出す側で行う前提で、その日数を「自社の確認期限」に入れておきます(⑦)

食品・EC・D2C

  • 画面サイズ違いと短い版を、最初の見積もりに入れる:広告・投稿・商品ページで使い分けるなら、縦長・正方形などの作り分けが必要です。あとから頼むと別料金になりやすい項目です(⑥)。SNSごとの画面サイズは縦型動画(9:16)の設計ルールにまとめています
  • 文字を自社で差し替えたいなら、編集データを確認する:セールや季節ごとに文言だけ変えたいなら、編集データをもらえるか、自社で手を加えてよいかを聞いておきます(⑥)
  • 表現の確認:食品の広告にも、品質や効果の書き方にルールがあります。美容と同じく、最終確認は広告を出す側で行う前提で、確認する人と期限を決めておきます

見積書の確認リスト

7項目を確認事項に落としました。相見積もりをした各社について、この順に確かめてください。

発注する前に

  • 各社に同じ条件(目的・長さ・本数・使う場所・修正・権利)で見積もりを頼んだ
  • 「一式」の行をすべて分けて、内訳を書面でもらった
  • 企画案の数と、構成が決まった後の変更の条件を確かめた
  • 撮影の拘束時間・延長の単価・撮影場所の数・予備日の扱いを確かめた
  • 字幕・図解・動く文字・色の調整・音の仕上げの範囲を、数で確かめた
  • 短い版・縦長の版・字幕なし版があるか、料金はいくらかを確かめた
  • 無料の修正が工程ごとか、案件全体かを確かめた
  • 出演者・音楽・素材を使える媒体・期間・地域と、広告に使えるかを確かめた
  • 著作権がどちらのものになるか、27条・28条を含むかを確かめた
  • 撮影した素材・編集データをもらえるか、追加料金はいくらかを確かめた
  • 自社の確認期限と、遅れたときの納期の扱いを工程表に書いた
  • 着手金・締め日・支払日・工程ごとのキャンセル料を確かめた
  • 見積もりに「含まれないもの」を、各社について書き出した

詳しく知りたい方向け:契約書に書いておくこと

見積もりの中身が決まった後、契約書や発注書に書いておく内容です。

著作権は「27条・28条を含む」まで書く

全部の譲渡を受ける場合でも、「著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む」と明記しないと、これらの権利は譲渡の対象ではないと推定されます。27条・28条は、翻案(作り変えること)と、二次的著作物(作り変えてできたもの)の利用に関する権利です。

つまりこの一文がないと、3分の本編を15秒に切り出す・縦長にする・字幕を足すといった加工の根拠が弱くなります。著作者人格権は譲渡できないため、必要に応じて、その権利を行使しないという条項(不行使条項)を別に置きます。

撮影した素材や編集データの扱いは、会社によってさまざまです。納品の対象外とする会社、制作費の20〜50%を追加とする会社、著作権の譲渡を20万円の定額とする会社、最初から制作費に譲渡の対価を含める会社があります。

ただし、発注する側に有利な権利の移転を、無条件で求めればよいわけではありません。中小企業庁は、知的財産の価値を適切に評価し、ほかの人の権利を侵害したときの責任などを、受注する側へ一律に押しつけない考え方を示しています。完成した動画/使わなかった素材/制作会社がもともと持っているノウハウや型は、分けて話し合うのが妥当です。

修正の回数は工程ごとに決める

工程ごとに次のように決めておくと、もめません。

工程 決め方の例
企画・構成 2案を出してもらい、選んだ案への修正2回
台本・絵コンテ 修正2回
編集の初稿 修正2回
最終稿 誤字・音量・色などの小さな調整1回
構成が決まった後の全面的な変更 別に見積もり
発注する側の都合による撮り直し 別に見積もり
制作会社の明らかな仕様違い 回数に含めず無料で直す

支払いとキャンセル料

キャンセル料は「いつでも総額の100%」ではなく、発注前/企画に着手した後/撮影の手配をした後/撮影の後の段階ごとに決めてもらいます。支払いの条件も、請求の締め日・検収が終わる日・振込手数料まで確かめておきます。

参考:pitattoの場合

ここまで「見積書を分けて見てください」と書いてきたので、自社の見積もりの中身も開示しておきます。pitattoはオリジナル楽曲付きの広告動画を75,000円(税込)〜、最短7日納品で制作しています。7項目に当てはめると、次のとおりです。

項目 pitattoの場合
① 企画・構成 聞き取りと構成の設計を含む。素材や写真は基本的に不要(サービスサイトのURLとヒアリングシートの記入のみ)
② 撮影 工程として持たない。撮影費・機材費・ロケ費・交通費がかからない
③ 編集・音 映像の編集と完全オリジナル楽曲の制作を含む。歌と映像を0.1秒単位で合わせる
④ 出演者・素材 出演者の手配費なし。楽曲・映像とも商用ライセンスが自社内で完結
⑤ 修正 映像内の文字・カット順・長さ・色味・字幕を2回まで無料。音源の修正工程は設けていない
⑥ 納品物・権利 MP4で納品。楽曲・映像とも商用利用の権利の手続きが済んでいる
⑦ 日程 最短7日。工程が少ないぶん、確認の往復も少ない

この価格にできるのは、品質を落としているからではなく、費用の中で重い「撮影」と「出演者の手配」を、工程ごと持たないからです。7項目のうち②と④がそもそもないため、見積書の「一式」に隠れる余地がありません。

下は実際に制作した広告動画です。実写の素材に編集とオリジナル楽曲を合わせた例です。

ハイブリッド
実写素材とオリジナル楽曲を掛け合わせた広告動画。撮影ロケを新規に組まずに制作できるため、見積もりが撮影条件に左右されません

不動産の案件で配信した別の動画では、広告が押された割合(クリック率)10.04%、1クリックあたりの広告費18円を記録しました。特定のアカウントでの実績で、集計の条件が業界平均とそろっていないため、「平均の何倍」という読み方はできません。そのお客様からは「曲が頭に残っていて来店した」という声をいただいています。とはいえ、動画を変えれば広告の成果が必ず上がる、というものではありません。

向かないケースも書いておきます。実在の店舗・スタッフ・施術や作業の様子そのものを見せることが一番の売りになる場合や、経営者ご本人の言葉で伝えたい場合は、撮影をする制作会社のほうが目的に合います。実写・AI・その組み合わせで費用がどう変わるかは、AI動画制作の費用相場|実写・フルAI・ハイブリッドを比較で比べています。

逆に相性がいいのは、広告の動画を複数本、入れ替えながら出したい場合です。反応が落ちたら差し替えるのが動画広告の前提で(動画広告のクリエイティブ疲弊とは?差し替え頻度の判断基準)、撮影を伴う制作では差し替えの周期に制作が追いつかないことが起きます。

まとめ:比べるのは価格ではなく、条件の細かさ

見積もりで大事なのは、最安値を探すことではなく、必要な作業と権利を漏れなく押さえることです。やることは3つです。

  • 条件を1枚にそろえてから見積もりを取る:ここを飛ばすと、そのあとの比較はすべて意味がなくなります
  • 「一式」を7項目に分ける:分けて初めて、金額の差の理由が見えます
  • 権利と追加費用を書面にする:とくに著作権の27条・28条、使う媒体・期間・地域、元データをもらえるか。口頭の確認は残りません

内訳を分けてもらう過程は、制作会社の見極めにもなります。「一式」の内訳を頼んだとき、すぐに出せる会社と渋る会社にはっきり分かれ、その反応は発注後の進め方にほぼそのまま表れます。

お手元に他社の見積書があるなら、この7項目で「含まれているもの/いないもの」に並べ替えてみてください。同じ条件での見積もりが必要でしたら、目的・使う場所・希望の納期の3点だけお知らせいただければご案内します。

よくある質問

見積もりは何社から取ればいいですか。

3社程度が目安です。数よりも、全社に同じ依頼内容を渡すことが重要です。条件がそろっていなければ、何社から取っても金額は比べられません。

いちばん安い見積もりの会社を選んでも大丈夫ですか。

金額だけでは判断できません。安い見積もりは、企画・撮影・短い版・権利などのどこかを削って成り立っていて、あとから足すと他社を上回ることもあります。「含まれないもの」を書き出してから比べてください。頼み方ごとの費用の目安はSNS動画制作の費用相場にまとめています。

制作費を払えば、動画の著作権は自社のものになりますか。

自動ではなりません。文化庁の契約マニュアルでも、制作を依頼した側が著作権を取得するには、契約上の個別の合意が必要とされています。あとで短く切る・縦長にするなどの加工をするなら、「著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む」と契約書に書いておきます。

参考にした出典

  • 文化庁「著作権契約マニュアル」— 制作依頼と著作権取得の関係、27条・28条の明記、著作者人格権の扱い
  • 文化庁「著作権契約書作成支援システム」— 譲渡・利用許諾の条項設計
  • 中小企業庁「知的財産取引に関するガイドライン・契約書のひな形について」— 知的財産の価値評価と責任転嫁の考え方
  • 消費者庁「表示に関するQ&A」— No.1表示・高評価率表示における広告主の根拠確認責任
  • 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」— 事業者の表示にあたる範囲
  • 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」— 取引条件の明示、支払期日の規制
  • JASRAC「インターネット上での音楽利用」— 広告目的複製等の取り扱い
  • 株式会社Lumii「動画制作・映像制作の相場・料金表を解説」— 240案件の中央値63万円、価格帯の分布
  • 株式会社Lumii「動画制作の見積もり書の見方を解説」— 企画・スタッフ・機材・編集・音響・マスターデータ・権利譲渡の公開単価
  • お絵かきムービー®「動画制作費用の内訳は?見積書の見方や費用を抑えるポイント」— 企画15〜25%/撮影20〜40%/編集30〜50%/諸経費10〜20%の構成比
  • jdoga.net「追加修正費用目安」— 編集技術者1人1日あたりの料金例
  • マネーフォワード クラウド契約「映像制作契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説」— 委託業務・納期・再委託・知的財産権・秘密保持の整理