「動画広告を出しているのに、思ったほど売れない」「広告費が上がる一方で、どこを直せばいいのか分からない」。ECやD2Cで商品を販売している企業から、よく聞く悩みです。
こうしたとき、すぐに新しい動画を作り直したくなります。けれど、原因が動画にあるとは限りません。先にやるのは、どこで止まっているのかを確かめることです。そのうえで動画に原因があるなら、多くの場合、問題は映像のきれいさではなく「1本の広告で何を伝えているか」にあります。
以下、すでに動画広告を出しているEC・D2Cブランド(食品を含みます)の代表の方に向けて、原因の確かめ方、EC・D2Cの広告でよくあるつまずき、何を伝える広告にするかの選び直し方、購入までのつなぎ方、作り直しの頼み方の順に見ていきます。健康食品・サプリメント・化粧品の効能を伝える広告は、別のルールがあるため、ここでは扱いません。
この記事の要点
- 売れないとき、まず「見られていない」「押されていない」「商品ページで止まっている」のどこかを確かめる
- 動画が原因のときによくあるのは、1本に全部を詰め込んでいる、商品ページと内容がずれている、時期に合わない広告を出し続けている、の3つ
- 1本の広告で伝えることは「商品そのもの」「使う場面」「ブランドの考え」のうち1つにする
- 商品の形・色・パッケージの文字は、動画の中で変えない
- 作り直しを頼むときは、今の広告の動画と数字を渡すと、直すところを絞れる
まず、どこで止まっているかを確かめる
広告から購入までには、いくつかの段階があります。売れないときは、どの段階で人が減っているかを見ます。広告の管理画面と、ECサイトの数字で確かめられます。
| 止まっている段階 | 数字の様子 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 見られていない | 表示回数が少ない、再生がすぐ止まる | 予算・配信の対象、または最初の場面 |
| 押されていない | よく見られているのに、広告が押された割合(クリック率)が低い | 動画で伝えていることが、見た人に響いていない |
| 商品ページで止まっている | 押されているのに、購入が少ない | 商品ページ、価格、送料、在庫、購入の手続き |
動画を作り直して効果が出やすいのは、主に「押されていない」ときです。商品ページで止まっているなら、動画を変えても売上は伸びにくく、先にページや価格の見せ方を見直します。原因の切り分け方は動画広告の効果が出ない5つの原因|30分でできる切り分け手順、購入1件あたりの広告費が高いときの見方はMeta広告のCPA平均・目安は?高い原因と改善方法で詳しく解説しています。
EC・D2Cの広告動画でよくある3つのつまずき
原因が動画にありそうなとき、EC・D2Cの広告でよく見られるのは次の3つです。
① 1本に全部を詰め込んでいる
商品の特長も、使う場面も、作り手のこだわりも、セール情報も、1本に入れている。伝えたいことが多いほど、見た人には何も残りません。1本の広告で伝えることは1つに絞ります。次の章の3つから選び直してください。
② 商品ページと内容がずれている
動画で見せた商品名、価格、セットの中身、パッケージの見た目が、商品ページと違っている。広告は押されているのに買われないときに、よく見られる原因です。動画で実物より豪華に見せている場合も、届いた商品とのずれが不満につながります。
③ 時期に合わない広告を出し続けている
最初は反応がよかった広告も、同じものを出し続けると、だんだん効かなくなります。ギフトの時期や季節限定品、セールなど、EC・D2Cには広告を変えるきっかけが多くあります。差し替えの目安は動画広告のクリエイティブ疲弊とは?差し替え頻度の判断基準で解説しています。
何を伝える広告にするか、3つから選び直す
EC・D2Cの動画広告で伝えられることは、大きく3つです。今出している広告がどれにあたるかを確かめ、目的と合っているかを見てください。
| 伝えること | 向いている目的 | 撮影 |
|---|---|---|
| 商品そのもの | 特長・仕組み・使い方を知ってもらい、購入につなげる | 商品写真から作れる。食品のシズル感を見せるなら撮影のほうが伝わる |
| 使う場面 | 「自分も使いたい」と思ってもらう、ギフトの候補に入れてもらう | なくても作れる |
| ブランドの考え | 作り手・産地・素材へのこだわりで選んでもらう | 実在の作り手や工場を見せるなら必要 |
3つを使う場合も、1本の中では1つに絞り、広告を分けます。たとえば「使う場面」の広告で興味を持ってもらい、商品ページを見た人に「商品そのもの」の広告で購入を促す、という分け方です。
商品そのものを伝える広告:事実は変えない
形、色、パッケージ、ラベルの文字、内容量の表示は、届く商品と同じでなければいけません。商品写真からAIで動画を作ると、文字や形が崩れることがあるため、公開前に元の写真と見比べます。制作の手順は商品画像からAI動画を作る方法|EC広告で商品を崩さない制作手順で解説しています。使い方や食べ方など、買ったあとを想像できる場面を入れると、商品の広告は伝わりやすくなります。食品の湯気やとろみ、商品のツヤは、撮影したほうが伝わる場合があります。
反対に、商品の中の仕組みや構造のように、撮影では見せにくいものは、図やアニメで見せる方法があります。次の動画は、pitattoがゴルフ用インソールのEC販売用に、アニメ調で制作した広告です。
この広告で伝えていることは、「この商品の仕組み」の1つです。そのために、次の順で組み立てています。
- 買ってほしいお客様の悩みから入る:スイングの軸がぶれるという、ゴルファーによくある悩み
- 撮影では見せにくい構造を、図で見せる:インソールの断面や傾斜を、アニメと図解で示す
- 使う場面に戻す:ゴルフ場でのスイングの場面
- 最後に、してほしいことを1つだけ伝える:「ぜひ、お試しください」
キャラクターの心の声(関西弁のつぶやき)を入れて、広告らしさを抑え、最後まで見てもらう工夫もしています。商品写真を並べるだけでは伝わらない「なぜこの商品なのか」を、1本の中で順を追って見せるのがポイントです。
使う場面を伝える広告:撮影なしでも作れる
ふだん使っている場面、食卓、ギフトを渡す場面などは、実写のような映像をAIで作る方法で、撮影をしなくても作れます。ロケや出演者の手配が要らないので、時期ごとの版も作りやすくなります。ただし、商品の大きさやセットの中身、食品の盛り付けの量を、実物より豪華に見せてはいけません。場面は演出しても、商品そのものは実物どおりに見せます。
ブランドの考えを伝える広告:作り手を見せるなら撮影
作り手の思い、産地、素材へのこだわりは、価格以外の理由で選んでもらうための材料です。実在の作り手や工場、畑を見せたいなら、撮影したほうが伝わります。撮影せずに作った人物を、実在の作り手のように見せることはしないでください。
購入までのつなぎ方を見直す
「押されているのに買われない」ときは、動画と、そのあとに見る商品ページのつながりを見直します。
- 最後にしてほしいことを1つにする:多くの場合は「商品ページを開く」
- 動画と商品ページをそろえる:商品名、価格、セットの中身、パッケージの見た目を合わせる
- 期限の入った文言を確かめる:「今週末まで」「期間限定」などが、時期を過ぎても残っていないか
- 字幕の位置を確かめる:スマホの画面いっぱいに映る縦長の動画は、SNSのボタンや名前が重なる位置がある。詳しくは縦型動画(9:16)の設計ルールにまとめています
差し替えを年間で計画する
作り直しの機会に、次の1年の差し替えも決めておくと、毎回あわてて作らずに済みます。
- 時期の前に作っておく:ギフトの時期に合わせるなら、その時期が始まる前に広告を用意する
- 最初の場面や文字だけを変えた版を、まとめて頼む:あとから1本ずつ頼むより費用を抑えられる
- 変えるのは1回に1か所:一度に複数を変えると、何が効いたのか分からなくなる
成果の見方:購入1件あたりの広告費で見る
見るのは購入の数と、購入1件あたりにかかった広告費です。再生回数や「いいね」が多くても、売れていなければ目的は果たせていません。広告はよく見られているのに売れないときは、動画を作り直す前に、商品ページまで来た人の数と、そこから買った人の数を分けて見てください。
表現で気をつけること
商品の広告には、品質や効果の書き方にルールがあります。とくに食品や体に使う商品では、健康や効果にかかわる言い回し、品質を言い切る表現が、そのルールに関わることがあります。作り直しの機会に、今の広告の表現も見直してください。
- 効果や品質を言い切らない:伝えるのは、仕組み・使い方・使う場面
- 使ってはいけない表現を、制作の前に共有する:パッケージや商品ページで使っている表現の決まりがあれば、それも伝える
- 最終確認は広告を出す側で行う:表現の最終的な判断は、広告を出す事業者側でお願いしています
AIで作った映像を使うときに、表記が必要かどうかはAI動画に表記は必要?YouTube・TikTok・広告のルールで整理しています。
作り直しを頼むときに用意するもの
今の広告がうまくいっていないことを前提に頼む場合、次のものがあると、直すところを絞れます。
- 今出している広告の動画(反応がよかったもの・悪かったもの)
- 配信の数字:表示回数、広告が押された割合、購入の数、購入1件あたりの広告費。分かる範囲で
- 広告の目的と、伝えたいこと(商品そのもの・使う場面・ブランドの考えのうち1つ)
- 商品写真(いろいろな角度のもの)とロゴ、商品ページのURL
- 使ってはいけない表現(パッケージや商品ページの決まりも含む)
- 次に広告を出す時期
依頼先の選び方は動画制作会社の選び方|見積書の見方と確認する7項目、費用の考え方はSNS動画制作の費用相場|1本いくら?予算別の頼み方で解説しています。
制作で直せること、直せないこと
制作会社として書いておかなければならないのは、動画を作り直しても、売上が必ず伸びるわけではないということです。制作で改善できるのは、「押されていない」原因が動画にあると分かった部分です。予算や配信の対象、商品ページ、価格や送料、在庫が原因なら、動画を変えても売上は伸びにくく、そちらを先に直す必要があります。
参考:pitattoの場合
pitattoは撮影をせずに、オリジナル楽曲付きの広告動画を作っています。上の実例のように撮影では見せにくい商品の仕組みを見せる広告や、使う場面を伝える広告、商品写真から作る広告の作り直し、時期ごとの差し替えの版づくりが向いています。
- 今の広告の診断:配信中の広告動画のURLをお送りいただければ、伸びない理由を無料でお伝えします(無料クリエイティブ診断)
- 用意するもの:サービスサイトのURLと、ヒアリングシートの記入。商品写真などの素材があれば、組み合わせて使うこともできます
- 納期:最短7日
- 修正:映像の文字・長さ・色味・字幕などを2回まで無料。音楽の修正工程は設けていないので、制作の前のヒアリングで伝えることを言葉にしておきます
- 料金:通常150,000円〜。割引キャンペーンを行っている時期もあるため、最新の料金は料金表でご確認ください
向かないケースも書いておきます。調理の様子や湯気・とろみといった質感、実在の作り手や工場そのものを見せることが一番の目的の場合は、撮影をする制作会社か、自社での撮影のほうが合っています。
まとめ
動画広告を出しているのに売れないときは、動画を作り直す前に、どこで止まっているかを確かめます。動画が原因なら、1本に詰め込みすぎていないか、商品ページと内容がずれていないか、時期に合わない広告を出し続けていないかを見直し、伝えることを1つに絞って作り直します。
そのうえで、商品の事実は変えずに、動画と商品ページをそろえ、差し替えを年間で計画し、購入1件あたりの広告費で成果を見る。変えるのは1回に1か所ずつにすれば、何が効いたのかが分かり、次の改善につなげられます。
よくある質問
動画広告を出しているのに売れません。動画を作り直すべきですか。
先に、どこで止まっているかを確かめてください。よく見られているのに押されていないなら、動画に原因がある可能性が高いです。押されているのに買われないなら、商品ページや価格、送料を先に見直します。
商品写真をつなげただけの動画で、反応が落ちてきました。
同じ広告を出し続けると、見た人が慣れて反応が落ちていきます。伝えることを1つに決めて作り直すか、最初の場面や文字だけを変えた版に差し替えると、全部を作り直すより費用を抑えられます。
今の広告動画を見て、どこが悪いか教えてもらえますか。
pitattoでは、配信中の広告動画のURLをお送りいただければ、伸びない理由を無料でお伝えしています。無料クリエイティブ診断からお申し込みください。
AIで作ると、商品の見た目が変わってしまいませんか。
変わることがあります。形・色・パッケージの文字・内容量の表示は、届く商品と同じでなければいけません。公開前に元の写真と見比べ、違う部分は直してから出します。
撮影なしで、商品の良さは伝わりますか。
商品の仕組みや構造、使う場面は、撮影なしのほうが見せやすいこともあります。この記事の実例も撮影なしで制作しています。一方で、食品の湯気やとろみ、商品のツヤといった質感は、撮影したほうが伝わる場合があります。何を伝えたいかで決めてください。