動画広告を作るとき、「何を伝えるか」は決めていても、「誰が見るか」が曖昧なまま進んでしまうことがあります。同じ商品でも、初めて知った人と購入を検討している人では、知りたいことが違います。年齢も、伝え方を考えるための手がかりの一つです。

ただし、「若い人には短い動画」「年齢が高い人には説明の長い動画」と決めることはできません。年代ごとの傾向を参考にしながら、商品、見る場所、視聴者が知りたいことに合わせて動画を作ることが大切です。

この記事の要点

  • 年代は、動画の正解を決める条件ではなく、最初の制作案を考えるヒントになる
  • 10〜20代、30〜40代、50代以上で試したい見せ方は異なるが、生活状況や商品への関心も合わせて考える
  • 最初は冒頭の訴求や見せる根拠を変え、視聴だけでなく問い合わせ・購入まで確認する

年代によって違うのは、まず動画に出会う場所

総務省の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、情報源や娯楽として重視するメディアは、10〜40代でインターネット、50〜70代でテレビが最も高くなっています。一方、趣味や娯楽の情報を得るために最も使うメディアは、10〜60代でインターネットです。

つまり、50代以上にもネットで動画を見る人はいますし、若い人にもテレビや長い動画を見る場面があります。この調査で分かるのはメディアの利用傾向であり、広告の好みそのものではありません。「どこで見られるか」を考える材料として使いましょう。

10〜20代向け:まず「自分に関係がある」と伝える

10代には、前置きより具体的な場面

10代向けの動画を考えるなら、商品名や会社紹介から始める前に、どんな場面で役立つかを見せる案を試せます。例えば学習サービスなら、「勉強が楽しくなる」という言葉だけでなく、分からなかった問題を解けるようになる場面を映します。

こども家庭庁の「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」でも、青少年がさまざまな機器や目的でインターネットを利用する様子が分かります。ただし、ネットを長く使うことと、短い広告を好むことは別の話です。説明が必要な商品なら、短い動画で関心を持ってもらい、詳しい動画につなげる方法もあります。

20代には、生活の中で使う瞬間

20代向けでも、流行の音楽や言葉を入れるだけでは、商品の価値は伝わりません。「帰宅後にアプリを開いて、数回の操作で予約が終わる」といった具体的な利用場面を見せると、視聴者が使う姿を想像しやすくなります。

出演者を起用する場合も、年齢が近いことだけで選ばず、その人が商品を使う理由を自然に語れるかを確認します。

30〜40代向け:年齢よりも、抱えている課題を具体的にする

30代には、「何が変わるか」を実演する

「30代は忙しい」と決めつけるより、届けたい相手が困っていることを一つ選びます。家事の手間を減らす商品なら、使う前後の工程を並べる。業務用サービスなら、実際の操作画面を見せる。便利という言葉を、映像で確かめられる変化にするのがポイントです。

40代には、判断に必要な情報も早めに置く

住宅設備や教育サービスなど、比較して選ぶ商品では、印象的な映像だけでは判断できません。料金の考え方、使い方、利用者の声など、検討時に知りたい情報を早めに示す案を試しましょう。これは40代だけに当てはまる特徴ではなく、慎重に比較する人へ向けた伝え方です。

商品の魅力を短時間で伝える構成は、動画広告の冒頭3秒の作り方でも紹介しています。

50代以上向け:「安心感」か「具体的な説明」かを決めつけない

50代、60代、70代以上を一つの層として扱うと、生活もメディアの使い方も見えにくくなります。「年齢が高い人には感動的な物語が響く」「機能を詳しく説明すればよい」と、一方に決める必要はありません。

例えば旅行サービスなら、旅先で過ごす時間を見せる動画と、移動方法・料金・予約条件を分かりやすく説明する動画の両方を用意できます。商品の種類や、視聴者が検討を始めたばかりかどうかによって、必要な情報は変わります。

文字が小さすぎないか、商品名や用途を理解できるかは、どの年代向けでも確認したい基本です。特定の年代だけを「分かりにくい人」として描かないよう、表現にも気を配りましょう。

同じ人でも、見る場面が変われば動画の役割は変わる

年代以上に見落としやすいのが、広告と出会う場面です。SNSを見ている途中に初めて商品を知る人と、商品名を検索して比較している人には、同じ動画を見せる必要はありません。

同じサービスでも、SNSで初めて知る人には使う場面を、比較中の人には料金や使い方を見せる構成例
同じ商品でも、初めて知る場面と比較する場面で、最初に伝える内容を変える。

pitattoの制作動画にも、実写素材と音楽を組み合わせたものがあります。映像の見せ方を考える際の一例として、実物をご覧ください。この動画は年代別の効果を比較した事例ではありません。映像表現だけで対象年齢を決めず、誰に何を伝える動画かを先に考えます。

ハイブリッド
pitattoが制作した、実写素材とオリジナル楽曲を組み合わせた動画。年代別の広告効果を示すものではありません。

尺も年齢だけでは決まりません。短い動画で一つの便益を伝え、詳しい説明が必要な人には長い動画を見てもらう方法もあります。長さを選ぶ際の考え方は、動画広告は15秒と30秒どちらが正解かにまとめています。

年代別の動画は、どう試せばいい?

最初から年代ごとに何本も作り分けるより、まずは大きな違いを一つ試します。例えば同じサービスについて、次の2本を用意します。

  • A案:利用者が困る場面から始め、使った後の変化を見せる
  • B案:料金や機能から始め、選ぶ理由を説明する

配信先や広告の目的、届ける相手などをできるだけそろえて比較します。動画を見た割合だけでなく、サイトへの訪問、問い合わせ、購入など、広告の目的につながったかまで確認しましょう。ある年代でA案が良くても、別の年代でも同じとは限りません。

成果が伸びない場合は、動画の表現以外に配信先や商品ページが原因のこともあります。確認する順番は動画広告の効果が出ない原因を参考にしてください。

まとめ:年代を手がかりに、見る人の状況まで考える

年代別の動画広告に、誰にでも当てはまる一本の正解はありません。年齢から視聴環境や関心を考えたら、次に商品を知っているか、どこで動画を見るか、何を知れば行動できるかまで具体的にします。

制作で改善できるのは、訴求や構成、映像の見せ方が成果を妨げている部分です。広告の配信設定や商品ページにも目を向けながら、伝え方を一つずつ試していきましょう。動画の見せ方に迷っている場合は、無料クリエイティブ診断で現状を整理できます。新しい動画の企画から相談したい場合は、制作についてお問い合わせください。

参考資料