「Meta広告の数字が悪くなってきた。でも、予算・ターゲット・クリエイティブ、どこから触ればいいのか分からない」
改善というと「悪いところを探して直す」作業に思えますが、実際にやることは違います。落ちている場所を1か所に特定して、そこだけを1回変えて、決めた期間で評価する。これだけです。順番が崩れると、何をやっても「変えたけど、効いたのかどうか分からない」で終わります。
以下、①目標を決める ②落ちている場所を特定する ③1つだけ変える ④評価して記録する、の順に見ていきます。CTRやCPAが高いか低いかという判断には踏み込みません。管理画面を開いてから、何をどの順でやるかだけに絞りました。
pitattoは広告動画の制作と改善をしている会社です。ただ、ご相談をいただく案件のうち、動画の作り直しで解決するものは一部です。制作で直る症状と、そうでない症状の線引きまで含めてお伝えします。
この記事でやること
- 改善のゴールを1つの数字に決める
- 表示・クリック・到達・成果のどこで落ちたか特定する
- 変更を1回1つに絞って、期間を決めて評価する
- クリエイティブ改善が効く症状かどうかを見分ける
改善の前に、「どの数字を、いくつにするか」を決める
つまずくのはたいていここです。「成果を改善したい」というぼんやりした状態で管理画面を開くと、目についた数字を片端から触ることになります。
最初にやるのは、変えたい数字を1つだけ選ぶことです。Meta広告で追う数字は、突き詰めると次の4つに整理できます。
| 数字 | それが表しているもの |
|---|---|
| CPM(表示単価) | 1,000回表示するのにいくらかかっているか |
| CTR(クリック率) | 見た人のうち、何%がクリックしたか |
| CVR(コンバージョン率) | クリックした人のうち、何%が成果に至ったか |
| CPA(獲得単価) | 成果1件にいくらかかっているか |
このうちCPAは結果であって、直接触れる数字ではありません。CPAはCPM・CTR・CVRの掛け算で決まるので、改善の作業対象になるのは前の3つです。「CPAを下げたい」は目的、「CTRを○%まで戻す」が今週の目標、という関係になります。
目標は「いつまでに、いくつ」まで決める
目標の書き方は、次の形に揃えてください。
- 対象:どのキャンペーン・広告セットか
- 数字:CPM・CTR・CVRのどれか1つ
- 目標値:いくつにするか(悪化前の自社の値が基準。外部の平均値ではありません)
- 期限:いつ判断するか
目標値の基準は、業種平均ではなく、自社アカウントの過去の数字に置きます。同じ商材・同じ成果地点・同じ配信面で取れているデータが、いちばん比較条件の揃った基準だからです。外部の平均値は、桁が大きく外れていないかを確かめる程度の使い方にとどめてください。
とはいえ、CTRとCPAは「そもそも今の数字が悪いのか」が分かりにくい指標です。目安の考え方と、低い・高いときの原因の切り分けは、それぞれ別の記事にまとめてあります。
落ちている場所を特定する:4つの関門で考える
目標が決まったら、次は原因の特定です。ここでいきなりクリエイティブを疑わないでください。
広告は、次の4つの関門を順に通過して成果になります。どこで人数が急に減ったかを見れば、直す場所は自動的に決まります。
| 関門 | 落ちたときに疑うもの |
|---|---|
| 1. 表示される | 予算・入札・対象者の広さ・審査落ち |
| 2. クリックされる | クリエイティブ・訴求・配信面との相性 |
| 3. LPに到達する | 読み込み速度・リンク・計測タグ |
| 4. 成果に至る | LPの内容・オファー・フォーム |
管理画面での見方
やることは、悪化前の期間と悪化後の期間を並べて、上の4つに対応する数字を比べるだけです。
- 期間を2つ用意する
「先月」と「今月」ではなく、「直近7日」と「その前の7日」のように、同じ長さで並べます - 列にCPM・CTR・LP到達・CVRを出す
クリック数とLP到達数がずれていないかも、ここで確認できます - 変化率の大きい行を1つだけ選ぶ
2つ以上悪化していても、まずは変化幅の大きいほうから手をつけます
このとき直近2〜3日のデータは判断に使わないでください。Metaは広告を見た人・クリックした人の成果を、設定した期間内のぶんだけ後から計上します。昨日の数字はまだ数え終わっていないため、必ず悪く見えます。評価は週単位が基本です。
「何も変えていないのに数字が動いた」ときは計測を疑う
クリエイティブも予算も対象者も触っていないのに、成果の数字だけが変わった場合、広告そのものではなく集計側が原因のことがあります。
- 成果イベントの定義やタグを、他部署が更新していないか
- サンクスページのURLやリロードで、成果が二重に計上されていないか
- アトリビューション設定(どこまでを広告の成果と数えるか)が変わっていないか
- フォームから1件テスト送信して、イベントが正しく発火するか
ここがずれていると、この先の判断がすべて狂います。改善作業の一番最初に、5分だけ使って確認してください。
変更は1回に1つ。期間を決めて評価する
原因の見当がついたら、ようやく変更に入ります。守ってほしい原則は1つだけです。
予算・対象者・クリエイティブ・LPを、同時に変えないこと。
同時に3つ変えて数字が良くなっても、次に同じ手が打てません。逆に悪くなったとき、どれを戻せばいいかも分かりません。改善が「毎回ゼロからの博打」になってしまう原因のほとんどが、この同時変更です。
変更してから評価するまでの待ち方
変更直後の数字は、いったん無視してください。予算を大きく動かしたり、クリエイティブを差し替えたりすると、配信の最適化が入り直して数字が一時的に振れます。
待つ長さの目安は、次のように考えます。
- 成果の件数で決める:日数ではなく、判断できるだけの成果件数がたまったかで見ます。週に数件しか成果が出ない規模なら、数日で良し悪しを判断することはできません
- 最低でも1週間は見る:曜日によって成果の出方は変わります。平日だけ・週末だけの比較は当てになりません
- 件数がたまらない場合は、成果地点を手前にずらす:購入ではなくカート追加、商談ではなく資料請求など、件数が確保できる地点で判断します
ここで補足しておくと、学習が安定するのに必要な成果件数や、アトリビューション設定の既定値は、Metaの仕様変更で変わります。具体的な数値は、そのつどMeta公式ヘルプの現行の記述を確認してください。
変更ログを残す
地味ですが、改善の速度がいちばん変わるのはここです。スプレッドシート1枚で構いません。
| 記録する項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 日付 | 変更した日 |
| 対象 | キャンペーン・広告セット名 |
| 変えたこと | 1行。「クリエイティブAをBに差し替え」など |
| 狙い | どの数字をどうしたかったか |
| 結果 | 評価日と、実際にどうなったか |
これがあると、数字が動いたときに「3日前に予算を上げたからだ」とすぐ分かります。担当者が代わったときに引き継げるのも、この1枚だけです。
クリエイティブ改善が効く症状・効かない症状
制作は、打ち手のなかで最も時間とお金がかかります。だからこそ、今の症状に効く打ち手なのかを先に見分けてください。
| 今の症状 | 制作で直るか |
|---|---|
| 以前は良かった広告のCTRが、じわじわ落ちてきた | 直りやすい(疲弊) |
| 新しい広告が、最初からCTRが低い | 直りやすい(訴求と冒頭から) |
| リールだけ数字が悪い(フィードは問題ない) | 直りやすい(配信面に合っていない) |
| CTRは高いのに、LP到達後に離脱する | 直りにくい(LP・オファー側) |
| CPMが上がり、CTRは維持されている | 直りにくい(配信・オークション側) |
| クリック数とLP到達数が大きくずれている | 直りにくい(計測・表示速度) |
下3行に当てはまる場合、動画を作り直しても数字は戻りません。むしろ、制作に時間を使っている間に本当の原因が放置されます。
上3行に当てはまった場合は、作り直す前に一度、今の動画を見てもらうのが近道です。pitattoでは無料クリエイティブ診断をやっていて、配信中の広告動画のURLと媒体を送っていただくだけで、数字を下げている要因を3点に絞ってお返ししています。費用はかかりませんし、そのまま制作をご依頼いただく必要もありません。
無料クリエイティブ診断でお返しするもの
- 冒頭で離脱を招いている箇所
- 訴求と、画面に出ている情報量のずれ
- 配信面(フィード・リール)に対する画面設計の過不足
「そもそもクリエイティブが原因なのか分からない」という段階でも大丈夫です。むしろ、その切り分けから一緒に見るほうが早く終わります。送っていただくのは動画のURLと媒体だけ、入力は1分程度です。
下の動画は、pitattoが実際に制作した広告動画です。冒頭で誰に何を伝えているか、最後に何をしてほしいかが伝わるか、という視点で見てみてください。
この動画は、自社アカウントの配信でCTR 10.04%を記録したものです。ただし集計条件が外部の平均値と揃っていないので、「平均の何倍」という読み方はできません。数字そのものより、ロケも出演者の手配もいらないので、訴求違いの派生版を数日単位で足していけるという作り方のほうが、改善のサイクルには効いてきます。1回に1つだけ変えるという原則を守りながら、試せる回数を増やせるからです。
pitattoでは、撮影なしで企画から最短7日で広告動画を制作しています。既存の動画の改善だけでも、1本からご相談いただけます。
改善が止まってしまう3つのパターン
手順どおりに進めているのに、成果がどうも動かない。そういうときに疑ってほしいことが3つあります。
1. 触る単位が細かすぎる
広告セットを細かく分けすぎると、1つあたりの成果件数が減り、どれも「判断できない」状態になります。比較したい軸が本当に必要なのか、一度まとめられないかを検討してください。同じ対象者に複数の広告セットを同時配信している場合、自社同士がオークションで競合して表示単価が上がることもあります。
2. 広告とLPの約束がずれている
広告の改善だけを続けても、LPが別のことを言っていれば成果は増えません。広告で伝えた内容が、LPの最初の画面に書かれているか。広告とLPは、同じ約束を伝える1セットとして点検してください。CTRが上がっても、CVRが同じだけ落ちれば成果は1件も増えません。
3. 広告の外側が変わっている
価格改定、在庫切れ、キャンペーンの終了、競合の大型出稿、季節要因。これらは管理画面のどこにも表示されませんが、成果には直接効きます。数字が説明できないときは、広告アカウントの外で何が起きていたかを先に確認してください。
まとめ:明日からの手順
- 変えたい数字を1つ選び、「いつまでに、いくつ」を決める(基準は自社の過去の数字)
- 計測がずれていないかを5分で確認する
- 同じ長さの2期間を並べ、表示・クリック・到達・成果のどこで落ちたか特定する
- 変更は1回に1つ。変更ログに1行残す
- 成果件数がたまるまで待ってから評価する(最低1週間・直近2〜3日は使わない)
- クリエイティブが原因だと特定できたときだけ、制作に進む
ここまで見て手が止まったら、状況に応じて2つの入口があります。どちらも無料で、しつこい営業はしません。
| 今の状況 | ご案内 |
|---|---|
| クリエイティブが原因か分からない | 無料クリエイティブ診断/動画のURLと媒体を送るだけ・入力1分 |
| 作り直しが必要だと分かっている | 制作・改善の相談と見積もり/撮影なし・企画から最短7日 |
ご相談の際に、今のCPM・CTR・CVR・CPAと、直近で変えた内容を教えていただけると、原因の切り分けからやり直さずに済みます。分かる範囲で構いません。
ひとつだけ正直に書いておくと、動画を作り直せば成果が必ず改善する、とは言えません。Meta広告の成果は、配信設定もLPも計測も市況も影響します。制作で改善できるのは、CTRの低下や疲弊、訴求のずれなど、クリエイティブが原因だと特定できた部分です。できること・できないことを最初にお伝えしたうえで、ご相談をお受けしています。
参考にした出典
- Meta Business Help Center「About attribution settings」— 成果の計上期間と、直近データが後から更新される仕組み
- Meta Business Help Center「About ad delivery and the learning phase」— 変更後に配信の最適化が入り直すこと
- Meta Business Help Center「About Ads Manager metrics」「Cost per result」— CPM・CTR・CVR・結果あたりのコストの定義
- Meta Business Help Center「About ad auction overlap」— 同一アカウント内の広告セットがオークションで競合すること